What is "Regeneration" ?

環境再生って何?

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どこか遠い国の話のような、自分が生きている間には大きな問題にはならないような、そんなふわふわとした認識だった環境問題。アマゾンの熱帯雨林やオーストラリアの森林が燃えてなくなっていること、気候変動により異常気象が続いていること、サンゴ礁が死んで消滅していっていること。これらの事実がスクリーンを通してライブ配信される現代、私たちは信じたくなかった問題に直視する時がやってきました。


アマゾンの火災の様子を見て、環境問題や火災の大きな原因と言われる畜産について考えが変わり、ライフスタイルを見直したという声も聞くようになりました。環境問題や気候変動について関心を持って調べ始めるとぶつかるのが、事の大きさに圧倒されてしまう気持ちではないでしょうか。エコ不安という言葉も耳にするようになりましたよね。


私たちの地球は今すぐにでも大きな変化を必要としています。そのことに今まで気づいていなかったことに驚きや落胆を感じる人もいると思います。緊急を要する問題だと多くの専門家が警告しているにも関わらず、事の大きさを認識していない政治のリーダー達や、利益優先の大きな力の壁があまりにも大きくて、無力感に襲われるのも無理のないことです。


そんなエコ不安が広がる中、環境再生ムーブメント(Regenerative Movement)がふつふつと湧き上がり、大きな波になろうとしています。環境問題や気候変動について語るとき、まだメインストリームにはなっていないけど再生をキーワードとしたリジェネティブムーブメントが今のわたしの心の支えであり、インスピレーションでもあり、最大の希望でもあります。

この”再生”というキーワードで語られるのは、人間が及ぼすマイナスな影響をどうやって減らすのかを考えるだけではなく、どうすれば今の破壊されてしまった自然を癒し、プラスの影響、つまり再生をもたらすことのできる存在になるかという事。人間と地球環境との関係性を定義し直すことができるのか、という点にフォーカスしています。人間が地球環境を壊す『悪』だとする視点から、人間がいるからこそ地球は繁栄することができるというチームメイトとしての視点への変化を促しています。

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私たちが環境問題について話すとき、どうやってゴミを減らそうか、汚染を無くそうか、動物の犠牲を無くそうかと減らすことに注目が集まります。気候変動について話すときにも、どのように私たちのカーボンフットプリントを減らすのかが強調されます。もちろんこのマイナスの影響を減らすことに注力するのはとても重要な視点だし、実際に行動に移す必要もあります!

だけど、今のわたし達にはさらに深く踏み込んで問いかける必要があります。

炭素の循環、水の循環、栄養素の循環など気候を調整しているエコサイクルをどうすれば回復させることができるのか?

という問いかけです。


温室効果ガスの容量の約90%は水蒸気だということを知っていますか?「気候危機を止めよう」と炭素の排出量を減らすことができたとして、それと同時に気候や温度を調節するためのエコシステムや土壌、水のサイクルがが壊れたままだと、大気中の温室効果ガスの量は減らず気温が下降することにはなりません。私たちが再生の一端を担うには、壊れてしまったエコシステムを修復し、都市環境を見直し、微生物や菌類がたくさんいる健康な土壌を再生する方法を知る必要があります。

健康な土壌を再生することは栄養価の高い食物を育てるのと同時に、大気中の炭素を地中に取り込みます。(大気中にあると温室効果ガスとして”問題”になってしまう炭素も、土の中では微生物や菌類の栄養素として”恵み”なのです)そして炭素が多く含まれる土の中には多様な生物が戻ってきて有機物がいっぱいのいわゆる肥えた土になります。有機物が含まれる土は保水性が高く、正しく水が循環しないために起こっている洪水、干ばつといった水に関する災害や環境問題も解決に導きます。

これまでの人間活動で傷ついた大地を癒すことは、気候危機をリバースし、エコシステムを回復させ環境問題の多くの解決法となります。同時に人間も健康な作物を手にすることができ、地球を癒すことは私たちを癒すこととしてそのまま返ってくることなのです。

このムーブメントで一番大事な要素は人間と地球との関係性の見直しです。人間活動によって一方的に地球の資源を搾取する今の社会モデルからお互いに利益をもたらし合う助け合いの関係に戻ること。地球は大きなガーデンです。そして人間はガーデンのケアテイカー。私たちがどれだけガーデンの中の生き物を尊重、信頼し、支え、励まし、愛情を注ぐかによって、これから先にどんな風景が広がるのか変わってきます。それぞれの命が個性を発揮できる多様性を育むこと。多様性がまさに地球を癒し、再生に導くキーワードです。そんなインクルーシブなガーデンを作ることがケアテイカーとして人間の役割だということを一人でも多くの方に思い出してもらえたらと思います。

この1年弱の間学んでいる、環境再生農業。元から備わった地球の働き、エコシステムの相互作用などを知れば知るほど地球の打たれ強さに感動し、人間のサポートによって地球の再生スピードが何倍も早まるということに興奮が抑えられなくなる日もあります。私たち人間は地球にとっての悪ではなく、地球は人間を必要としています。エコ不安で心が傷ついた経験がある人ほど、この希望に満ち溢れた環境再生ムーブメントについてぜひ知ってもらえたらと思います。

まだ日本では馴染みのない環境再生ムーブメント。日本語での情報はまだ無いにも等しいと感じています。これからこのウェブサイト上では環境再生をキーワードに、世界中の動きや個人でも取り組めることなど、コンテンツを増やしていく予定です。