Holy Plant White Sage

聖なる薬草ホワイトセージ

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世の中が目まぐるしく変わっていく2020年。しっかり地に足をつけるため、瞑想などのセルフケアをする人が増えてきた印象があります。その際、日本でもスマッジングをしている人をよく見かけるようになってきました。スマッジングは知っていますか?

 

スマッジングって何?

スマッジングは乾燥した薬用植物に火をつけその煙で空間や魂、スピリットを浄化する世界各地の民族のスピリチュアル文化の一つです。ここ数年で家をスマッジングすることがトレンドになり、世界各地に広がっています。今では日本でもホワイトセージをまとめたバンドルを見かけるようになりましたよね。すでに手元にある方も多いのでは。 最近よく見かけるスマッジングといえばホワイトセージの他にもパロサントがあります。ホワイトセージは北アメリカ、パロサントはラテンアメリカの先住民族が代々使ってきた薬用植物です。



かくいう私もホワイトセージのリーフ、パロサント共に持っています。アメリカに引っ越してきたばかりの頃に通っていたヨガスタジオで、心を落ち着けてくれる香りに魅了されたのが出会いでした。何気なく真似し始めたスマッジング。スマッジングって浄化作用があるんだって!火の作用が冬の暗くて寒い季節とのバランスをとってくれるんだって!とネット検索したその程度の理解のままつい最近までいたのです。

 

南カリフォルニアに原生するホワイトセージ

そんな私がスマッジングについて、特にホワイトセージについてハッとさせられる出来事があったのは環境再生型ガーデニングのクラスを受講中のこと。環境を再生するため、そして地域に合った生態系を取り戻すためには、その土地ならではの植物を育てることがとても有益です。ホワイトセージは私の住んでいる南カリフォルニアに多く原生している多年植物の一つで、ずっと昔からこの地域の景色の中に存在し、今も自然保護地域などを通る際には、道端に当たり前のように並んでいます。



代々ロサンゼルス周辺に住んでいるTongva族のご家族のお庭へお邪魔した際、大事にケアされている大きなホワイトセージを囲み、先住民の方達がこの聖なる植物と呼ぶホワイトセージとどう向き合っているのかや、スピリチュアルな繋がりを作ってきた方法を聞く機会がありました。そこで耳にしたのが先住民の方達は今のスマッジングトレンドに対して複雑な思いを抱えていること、そしてホワイトセージのある南カリフォルニアの風景がトレンドによって壊されている実情についてでした。


トレンドの裏で起きていること

ホワイトセージのバンドルを使ったスマッジングがトレンドになっている背景には、大手企業がこぞってスマッジングキットを販売していることが挙げられます。本来、とてもスピリチュアルで神聖な行為であるスマッジングを、その文化を正しく理解することなく販売し、その文化に全く関係のない企業が利益を得ていることは先住民の方達にとって嬉しくない事実。



多民族国家であるアメリカでよく聞く言葉にCultural Appropriationというものがあります。日本語に訳すと文化の盗用、流用。ある文化圏の要素を他の文化圏の者が盗用する行為なのですが、スマッジングを利用したビジネスはまさに文化の盗用の一例です。もともと存在していたスマッジングという慣習を横取りし、トレンディにパッケージし直して、スマッジングが先住民の文化だということを知らない人をたくさん生みます。



他の文化の盗用に関する近年の例としては、日本でも話題になったと思うのですが、キムカーダシアンが自身の矯正下着ブランドにKIMONOと名づけてアメリカで商標登録の申請をしていた件。KIMONOという名前は日本文化の一つであり誰も所有することはできないと多くの抗議があり、結果的には別の名前に変わるということがありました。あのとき、私たち日本人が感じた心地悪さや怒りや悲しみ。これを先住民の方達は、スマッジングに対して感じているということです。

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先住民の方たちの文化を尊重する重要性

アメリカでは強制同化政策といって彼らの言葉や慣習を行うことは禁じられ、文化が強制的に奪われてきた歴史があります。今も先住民の人たちは不平等な社会システムのもと、居留地では非人道的と言っても良いような暮らしをさせられていたりもします。それにもかかわらず、彼らのアイデンティティや文化は資本主義に都合よく利用されることがしばしばあるのです。モカシン、インディアンジュエリー、インディアンテキスタイル。皆さんもファッションやインテリアのトレンドとして目にしたことありますよね。彼らの文化やスピリチュアリティは、使用の許可を求められるでもなく、利益が還元されることもありません。彼らの存在自体は大切にされていないにも関わらず、文化やスピリチュアリティは企業の利益のために常に搾取されて続けているのが現状です。



もうこれだけでも、軽い気持ちでホワイトセージのスマッジングをしていた事が恥ずかしくなってしまったのですが、文化の盗用という問題以外にも、世界中で需要が大きくなってきたことで野生のホワイトセージの違法採取、乱獲問題が出てきました。少し長くなってきたので、続きはまた次回お話ししますね。